はじめに
この数十年間を振り返ってみても2020年は異様な年だったと思います。
2020年1月15日日本国内で初めて新型コロナウイルス感染者を確認し、2月13日には死亡者がでました。その後、4月7日には緊急事態宣言がなされ、その後日本国民は1年以上自粛を繰り返す生活を送ることとなりました。
飲食店は苦境に立たされ、企業はテレワークを導入し、人の移動は制限され、新しい生活様式と名付けられた日々の暮らしは今までと様変わりしたと言っても過言ではなく、街の風景じtもどこか変わったような気がします。
このように人々の生活、日本そのものを変えてしまった新型コロナウイルスですが、
この記事では、定量的な時系列データを用いてコロナ禍を紐解いてみたいと思います。
経済的な観点における変化
収入、支出
家計の調査も見てみます。総世帯の収入、支出はコロナ禍でどう変化したでしょうか?
まずは収入から見ていきます。
つぎに支出はどうでしょうか?
データの出典:総務省
https://www.stat.go.jp/data/kakei/index3.html
消費の落ち込みによる支出額の減少は納得しやすのではないでしょうか?一方で、コロナ禍にもかかわらず収入も増加しているのは注目すべき点です。
企業の倒産
コロナ禍において経済的な打撃を受けた企業も多かったはずです。大手アパレル会社であったレナウンがコロナウイルスの影響により倒産したニュースはまだ記憶に新しいですね。
それでは、企業の倒産件数を見てみましょう。
データの出典:東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/yearly/2020_2nd.html
驚くことに、企業の倒産件数は1991年以降の過去最低水準を記録しています。
一方で、東京商工リサーチの調査によると、コロナ関連倒産が792件となり、全体の10%程度がコロナ関連倒産であるともしています。
雇用(失業率、転職者数)
経済活動において重要な雇用の安定性についても見ていきましょう。
こちらもコロナ禍において、失業したなどのニュースが報道されていましたが、全体的な数字はどうだったのでしょうか?
まずは転職者数の推移です。
データの出典:総務省
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.html
まずこの10年間で増加傾向であった転職者数は2020年には減少しています。コロナ禍において転職求人が少なかった、不安定な転職へ踏み切るひとが少なかったなどの理由が考えられると思います。
完全失業率はというと、この10年間減少傾向でしたが、2020年には再び上昇しています。
これもコロナ禍で失業してしまった人が一定数いたと考えられると思います。
世帯構成における変化
データの出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/index.html
出生数は長期的なトレンドで下降傾向にあります。
2018年から2019年にかけて出生数が5.8%程度下降したことに比べると2019年から2020年に関しては、2.8%程度しか下降しなかったことから、下降トレンドが緩やかになったとも受け取ることができます。
婚姻数、離婚数
コロナウイルスの影響で、人と接する機会がすくなくなり、人のありがたみを感じ、結婚を決意した人も多いはずです。一方で在宅勤務が多くなり、離婚を切り出してしまった夫婦もあるのではないかと思います。
まずは婚姻数から見ていきます。
データの出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/index.html
婚姻数、離婚数ともに減少傾向にあるのですが、2020年はいずれもその減少幅が大きくなっています。つまり、コロナ禍において婚姻数は伸びず、離婚数は下がったと言えるかと思います。
自殺者数
コロナ禍において、経済的な苦境なニュースも多く目にしました。勤め先からの解雇からホームレスへのなってしまった人などもいたようです。
それではコロナ禍において自殺者が増えたのかどうかを見てみましょう。
データの出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/jisatsu_year.html
ここ10年減少傾向にあった自殺者ですが、一転して昨年は増加しています。
一方で、要因別の自殺者数を見ると、「経済・生活問題」での自殺者は減少しており、「健康問題」での自殺者が増えているのが分かります。
コロナウイルスもこの「健康問題」の増加に一定の影響を与えている可能性はあります。
人の移動における変化
移住
コロナウイルスの蔓延によって、テレワークという言葉に代表されるように新しい生活様式が始まりました。これを機会に出勤しなくてもいい人は移住を考えたことでしょう。2020年の移住者数も見てみます。
まずは県をまたぐ移住者数です。
ついで、県内での移動を見てみます。
データの出典:総務省
https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/youyaku/index.html
県をまたぐ移住に関しては、意外なことに過去10年間でもっとも低い水準であったことがわかります。また、県内の移住に関しても低水準にとどまっています。コロナ禍において、引越しは少なかったということが分かります。
訪日外国人、出国日本人
コロナウイルスによる影響が色濃くでたのが、人の移動。つまり旅行です。
まずは、訪日外国人数と出国日本人の数を見てみます。
まずは出国した日本人です。
次に訪日外国人の数です。
データの出典:観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html
日本人の出国者数は見事に下がり、訪日外国人の数も東日本大震災が起きた2011年を下回っています。訪日外国人数がこの10年間で伸びていただけに残念ではあります。
宿泊数
宿泊数も見てみます。一時期はGoToトラベル事業によって回復を見せた宿泊業ですが、2020年はその他の年と比べてどうだったのでしょうか?
データの出典:観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shukuhakutoukei.html
やはり宿泊数も減少していますが、思ったよりも減少していないのは、GoToトラベル事業によって底上げがあったからだと考えられます。今年もコロナウイルスの影響が続いていますが、どうなるのでしょうか。心配なところです。
さいごに
ここまで様々な統計データをみてみました。影響が大きいものもあれば、ほとんど影響がないものもあったかと思います。正しくコロナ禍を読み解くためにもここで紹介した統計データを活用していただければと思います。
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